和歌山静子絵本原画展『ぼくは王さま』と平和の絵本

【会期：2024年5月25日(土)～7月28日(日)】

たんけんたいと消防たい　和歌山静子さん(1940～2024)は、童話作家の寺村輝夫さんが文章を書いた「ぼくは王さま」シリーズで広く知られており、温かく力強い描線で描かれたこのシリーズのイラストは和歌山さんのライフワークの一つだと言えます。またご自宅に「アジア絵本ライブラリー」を開設し、アジア各国で取材をして絵本を作成したり、2011年に日本、韓国、中国の絵本作家が協力して出版した「平和絵本」シリーズの一つとして『くつがいく』を発表したりするなど、絵本を通じた各国の相互理解と平和交流にも取り組んできました。

　この展覧会では「ぼくは王さま」シリーズを中心に和歌山静子さんの作品を取り上げ、絵本原画という身近な芸術に親しんでいただくとともに、平和な世界の実現を願った和歌山静子さんの作品をご紹介いたします。絵本を通して、幼い世代から大人まで、平和への思いをはせていただければ幸甚です。

■和歌山静子
1940年京都生まれ。幼少期は函館で過ごす。武蔵野美術大学卒業。
力強く大胆な絵を寺村輝夫氏に見出され、20代後半から子どもの本の仕事を始める。和歌山静子さん寺村輝夫原作による「王さまシリーズ」が広く知られているほか、絵本作品も『あいうえおうさま』（理論社、絵本にっぽん賞）『おおきなちいさいぞう』（文研出版、講談社出版文化賞）『くろねこさん　しろねこさん』（童心社、産経児童出版賞文化賞）をはじめ、『てん　てん　てん』『ひまわり』『どんどこ　どん』（以上、福音館書店）など多数。「日中韓平和絵本シリーズ」の一冊として『くつがいく』（童心社）を発表した。2024年1月逝去。

２作品

加納莞蕾

●同時開催
加納莞蕾展「今願う―世界の平和を」

加納莞蕾の作品と平和への活動の軌跡を展示。
世界の恒久平和を求めつづけた加納莞蕾の想いを伝えます。

【会期】2024年5月25日(土)～7月28日(日)
　　　　休館日／毎週火曜日（祝日の場合は翌日）

王さまゆめのひまわり

会期中の催し

トークイベント「和歌山静子さんとこどもの本WAVEについて」

日時／5月25日(土)　13:30～15:00
会場／布部交流センター（美術館となり）
講師／穂積保さん（こどもの本WAVE代表）

■こどもの本WAVE
「こどもの本WAVE」は、絵本作家・太田大八を名誉代表とし、“こどもの本が好きな人たちみんなが手をつなぎ大きな波を起こそう”という呼びかけのもと立ち上げられた団体。それぞれが、これからを担うこどもたちにとって、よりよい本との出会いが持てるよう願って活動が進められている。

■穂積保さん（こどもの本WAVE代表）
穂積さん札幌市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科（経済法）修士課程修了。
1972年、福音館書店入社。編集部を経て1997年同社退社後、(株)メディアリンクス・ジャパンを設立し、現在に至る。
2005年～2012年、東京理科大学大学院MIP（知的財産戦略専攻）教授。
著書に『こどもの本の半世紀』、写真絵本『一本の鉛筆の向こうに』、翻訳絵本『サーカス！』など多数。
和歌山静子さんとは、20代の頃から仕事上の友人関係にあった。

アートdeトーク（対話型鑑賞会）

日時／6月9日(日)　[1]11:00～、[2]13:30～
会場／美術館展示室
ファシリテーター／春日美由紀さん（うるとらまりん）

ひとつの作品を見ながら感じたこと・気づいたことなど、対話をすることで新たに作品の観点・感じ方がみつかります。
鑑賞力・対話力もアップすると好評です。

学芸員によるギャラリートーク

日時／6月15日(土)、7月13日(土)、7月28日(日)　各[1]11:00～、[2]13:30～
　　　6月30日(日)　11:00～　※講演会の開催にともない、午前中のみの開催とさせていただきます。

会場／美術館展示室

講演会「モンゴルの蒼い空―和歌山静子の思い出」

日時／6月30日(日)　14:00～15:30（※当初開催を予定していた6/23(日)は大雨により中止とし、6/30(日)へ延期といたしました。また、開催の時間帯も当初予定より変更しております。（13:30開始→14:00開始へ変更））
会場／布部交流センター（美術館となり）
お話／うださちこさん（『ムルンとサルタイ』作者）

■うださちこさんムルンとサルタイ
1942年鳥取県生まれ。東京都で小学校教師を26年間勤め、『スーホの白い馬』の授業を通してモンゴルに魅せられ、たびたびモンゴルを訪れる。1994年～1995年、内モンゴル師範大学日本語科講師。1999年より毎夏、モンゴル国立教育大学で日本語を教えるかたわら、モンゴルの昔話の採集を続けている。地域では、「ストーリーテリング」や「ブックトーク」を中心に、子どもと本を結ぶ活動を精力的に行っている。松江市在住。（社）日本モンゴル協会理事。