安来市加納美術館は、(公財)加納美術振興財団が指定管理を受けて管理しています。
当館は、平成8年(1996年)11月1日安来市広瀬町布部(ふべ)(旧広瀬町)に開館しました。
設立は、故加納溥基により郷里の文化の発展を願って、文化活動や生涯学習の拠点となるよう願って設立されたものです。
設立の動機は溥基の父であり画家であった加納辰夫(雅号 莞蕾(かんらい))の作品を収蔵したいとの思いと、戦後莞蕾がフィリピン日本人戦犯助命嘆願活動を起こし、6代フィリピン大統領エルピディオ・キリノ大統領ほかに送った300通に及ぶ嘆願書の往復書簡の控えを保存したいとの思いからです。また、同時に広瀬出身の芸術家から寄贈された作品を収蔵してほしいとの強い要請を受けてのこともありました。
しかし、これだけの作品ではこのような山奥に人は来てくれないだろうと思い、新たに彼の趣味でもあった茶の湯、陶芸の作品を集めることにしました。特に岡山で会社を経営していたので、備前焼、および全国の茶陶に関する作品を集中して集めました。
現在、古備前を含め備前焼と、5人の人間国宝の方々の作品をはじめ、500点ほど収蔵しております。また、茶陶は茶の湯の碗を中心に文化勲章、人間国宝作家の作品をはじめ400点ほど収蔵しています。地元出身の芸術家の絵画、彫刻も多数収蔵しています。
最近では美術館の使命である、美術作品の調査研究、展示、保存などにも注力し、また、地元の美術品、文化的遺産の掘り起こし、全国の優れた、文化、芸術作品の地域の人たちへの紹介などにも力を入れております。
近時、当館の最も大事な使命として、戦後加納莞蕾がフィリピン日本人戦犯釈放運動から得た大きな教訓「赦し難きを赦す」というキリノ大統領の平和への思いを、当館の活動指針として設定して事業運営をいたしております。恒久平和を希求する美術館として邁進していきたいと思っております。
安来駅から車で30分です。目の前には飯梨川の清流があり山紫水明に恵まれ四季の花々咲き誇る自然がいっぱいの美しいところです。お抹茶を点てお待ちしております。
ぜひお立ち寄りください。
安来市加納美術館
(公財)加納美術振興財団
理事長 加納 二郎
沿革
平成8(1996)年11月1日、開館。
平成14(2002)年、広瀬町に寄贈。広瀬町立加納美術館となる。
(加納美術振興財団が管理・運営にあたる)
平成17(2005)年、市町村合併に伴い、安来市加納美術館となる。
平成24(2012)年4月1日、安来市は運営者に公益財団法人加納美術振興財団を指定し、今日に至る。
平成28(2016)年、10月23日、「加納莞蕾とフィリピン元大統領エルピディオ・キリノ平和友好記念碑」建立。
令和3(2021)年6月19日、美術館機能充実のための改修工事を終え、リニューアルオープン。