紙塑人形作家

 大正7年2月、島根県能義郡島田村(現:安来市)に生まれる。

 島田村尋常高等小学校高等科卒業後、たびたび東京・大阪に出かけ、彫刻家である高村光太郎、本郷新などの知遇を得て彫刻の研究に励んだ。

 その後、郷里で厳父・鉄太郎の薫陶(くんとう)を受けながら土人形の制作に精魂を傾けた。その成果が実り、昭和12年商工省主催の工芸展に初入選し、以来、各種の全国的な展覧会に出品、人選を続けた。

 特に、紙塑(しそ)人形の創始者・鹿児島寿蔵氏(人間国宝)の作品に出合い、戦後独特の世界を創造、国内でも数少ない紙塑人形作家として、長い歳月をかけてその制作に没頭した。出雲神話をモチーフにし、その時代のロマンを求める一方、現代を風刺(ふうし)し、すべての人々を魅了する迫力を持っている。

 作品は、モスクワ・サンパウロなど海外の美術館にも所蔵され、国際的にも高く評価されており、皇太子殿下(現:上皇・上皇后)ご夫妻に献上もした。