加納辰夫の平和運動を世界の記憶に
2017年、公益財団法人加納美術振興財団は、恒久平和を願った画家加納辰夫(雅号:莞蕾)の残した平和運動に関する書簡や文書についてユネスコ「世界の記憶」(地域登録)の国内登録申請を行いました。
申請物のタイトルは「画家加納辰夫の恒久平和への提言 フィリピン日本人戦犯赦免に関わる運動記録」。1949年から1958年までの12種類の総計242点で構成されています。
画家加納辰夫は、第二次世界大戦後フィリピンに収監されていた日本人戦犯の赦免を訴え、キリノ大統領やローマ教皇らに多くの書簡を送り続けました。「赦し難きを赦す」ことが恒久平和実現に繋がるという加納の訴えは、他の嘆願運動とは性質を異にするものです。加納は、日本人戦犯が帰国してからは平和実現への提言を続けました。
書簡をはじめとする加納の資料は、私人による体系的かつ継続的な平和希求活動を記録するものです。
「ユネスコ世界の記憶」には国際登録と、「世界の記憶」アジア太平洋地域委員会(MOWCAP)等が決定する地域登録があります。今回の申請はこの地域登録を目指すものです。
2018年7月28日、国内審査の結果が発表されました。今回3件(ほかに千葉県香取市、福島大学)の申請がありましたが、いずれも推薦されませんでした。
このたびの取り組みを通して多くの方々からご助言やご支援をいただきました。心よりお礼申し上げます。
私どもはこれからも加納辰夫の残した資料を正しく後世に伝えるべく努力を重ねてまいります。
書簡を綴じたバインダー
2023年、莞蕾が世界に発信した約300通もの書簡の邦訳をまとめた書籍を出版しました。
あわせて、書簡の原本の画像をまとめた資料集も制作しました。
館内で常時閲覧できるほか、ミュージアムショップで販売しています。
↓書籍について
「『邦訳 加納辰夫嘆願書』出版フライヤー」をダウンロードする(PDF:3.0MB)
キリノ元大統領と握手する加納莞蕾(1955年)
現在、情報はありません