パンフレット 今回の企画展では、木材工芸作家細田育宏(やすひろ)・染色作家細田和子(出雲市馬木町出身)夫妻の「仕事」を紹介します。

 細田育宏は木材工芸作家として数多くの作品を生み出すとともに島根大学、山口大学、東京学芸大学などで多くの後進を育てました。作品には子どもの頃の思い出が込められています。

 細田和子は、夫との出会いを機に作品制作を開始。蝋描きした一部を針で引っかいて図を描き、その上から染料を染みこませて染色する独自の技法作品を発表。永く生命の神秘をテーマにした作品に意欲的に取り組んできました。1990年代以降は島根を追慕する作品を次々に発表しています。

また、永年子どもたちに版画教育を実践しています。

 二人の作品に通ずるふるさと島根への思いが伝わる展覧会です。 

 

細田育宏(ほそだやすひろ)

 

1931年、布部村(現:安来市広瀬町布部)生まれ。島根県師範学校を経て、東京教育大学教育学部芸術学科卒業。島根大学教育学部付属中学校教諭、山口大学教育学部講師を経て、1971年に東京学芸大学および大学院で助教授、教授をつとめる。高度な木彫技法や金属などの象嵌技法を駆使した技術性の高い作品を光風会・日本新工芸展・日展・国際選抜展に発表した。2009年没(78歳)

「歌舞伎蟹と少女」 ©細田育宏 1984年
「歌舞伎蟹と少女」 ©細田育宏 1984年

 

 
                    

細田和子(ほそだかずこ)

 

1936年、出雲市馬木町生まれ。出雲高校、島根大学卒業後、教員となる。細田育宏と結婚。小学校で版画教育の実践を始める。日展や日本現代工芸美術展などに染色作品を出品。1971年より東京都東久留米市の小学校に勤務しながら作品を制作し続ける。2009年、キッズ・ゲルニカの活動を開始。日本子どもの版画研究会会長、染織作家東京会会員、現代工芸美術家協会本会員、日展会友。

「ふるさと参り」©細田和子 1995年 出雲市蔵
「ふるさと参り」©細田和子 1995年 出雲市蔵