加納辰夫の平和運動を世界の記憶に

 安来市加納美術館を運営する公益財団法人加納美術振興財団は、恒久平和を願った画家加納辰夫(雅号莞蕾)の残した平和運動に関する書簡や文書についてユネスコ「世界の記憶」(地域登録)の国内登録申請をしました。

画家加納辰夫は、第二次世界大戦後フィリピンにいた日本人戦犯の赦免を訴え、キリノ大統領やローマ法王らに多くの書簡を送り続けました。「赦し難きを赦す」ことが恒久平和実現に繋がるという彼の訴えは、他の嘆願運動とは異質のものです。日本人戦犯の帰国後は、平和実現への提言を続けました。

戦犯と何の関係もない一私人の博愛精神による体系的かつ継続的な平和希求活動の記録資料は、稀有で真正無二の記憶です。

申請物のタイトルは「画家加納辰夫の恒久平和への提言 フィリピン日本人戦犯赦免に関わる運動記録」。1949年から1958年までの12種類の総計242点で構成されています。

「ユネスコ世界の記憶」には国際登録と、「世界の記憶」アジア太平洋地域委員会(MOWCAP)等が決定する地域登録があります。今回の申請はこの地域登録を目指すものです。

7月28日午後、国内審査の結果が発表され、残念ながら私どもの申請は登録推薦されませんでした。今回3件(千葉県香取市、福島大学)の申請がありましたが、いずれも推薦されませんでした。なお審査内容については公表されませんでした。

このたびの取り組みを通して多くの方々からご助言やご支援をいただきました。心よりお礼申し上げます。私どもはこれからも加納辰夫の残した資料を正しく後世に伝えるべく努力を重ねて参ります。引き続き皆さまのご支援をお願いいたします。

加納莞蕾

キリノ大統領と握手する莞蕾
キリノ大統領と握手する莞蕾